園善博の頭が良くなる魔法の速習法

第4回: 「スキミング・リーディング」で詳細を把握する

はじめに、前回の復習をしておきましょう。

前回は、「知っている知識がほとんどない分野」の勉強に役立つ読み方をご紹介しました。これを「スキミング・リーディング」と言いました。

はじめに目次を読み、読書の準備(第2回コラム参照)をした後で、「目に留まったところ」「必要だと思ったところ」だけを、飛ばし読みしていく。

この読み方で同じ分野の本を3冊、4冊と読んでいけば、知識が積み上がり、読むスピードが速くなっていきます。

著者と対話するように読む

では、「概要は分かったから、もっと詳細を知りたい」ときには、どのような読み方をすればいいのでしょう?

詳細の把握には「ターゲット・リーディング」が適しています。

「ターゲット・リーディング」は、「部分的に深く理解しながら読む」方法であり、著者と読者を、「先生と生徒」に見立てて、対話するように読むのがポイントです。

本から学びたいこと、知りたいことを「質問形式」に置き換え、先生に答えを教えてもらうように本を読みます。

では、具体的な読み方を説明します。
ステップ1からステップ3までは、「スキミング・リーディング」と同じ手順です。

◆ステップ1 【目次を読む】

目次を読んで、「この本には、どんなことが書かれてあるのか」をつかんでおきます。 第1章の章タイトル→第2章の章タイトル→第3章の章タイトル→第1章の大見出し→第2章の大見出し……といった順番で、目次を構造的に読んでいきましょう。

◆ステップ2 【プリペアードマインドをセットする】

本を読む目的や、本を読むことで得られるメリットについて考えます。目的意識を持ってから本を読むと、より深く理解できるようになります。

◆ステップ3 【プライミングをかける】

決めておいたキーワードを探す要領で、パラパラ読みをします。1ページにつき、2~5秒のスピードでページをめくります。

「質問と答え」をセットにして読む

◆ステップ4 【質問を設定して、答えを得る】

質問を「ターゲット」にして、「質問の答えを得る」ように読んでいきます。はじめに「この本から何を学びたいのか」を「質問形式」で考えてみます。

例えば「読書法」について書かれた本を読むときに、次のような質問を設定したとします。

【質問】 たくさんの本を、短時間で読む方法はあるか?

質問が決まったら、質問に関する「キーワード」を考えてみましょう。本を速く、たくさん読みたいわけですから、

「本」「速読」「読書術」「スピード」「読み方」「勉強法」……

などでしょうか。ここは、ステップ3でプライミングをかけるときに使ったキーワードと同じでもかまいません。

キーワードを決めて、本をめくります。キーワードを見つけたら、その周辺に「質問の答え」が書かれてあるはずです。

【ターゲット・リーディングの流れ】

質問を考える→質問に関連したキーワードを考える→キーワードを探すように本をめくる→見つけたキーワードの周辺に、質問の答えが書かれてあるので、それを見つけましょう。

◆ステップ5 【ノートに要点をまとめる】

質問の答えが見つかったら、「質問」と「答え」に分けて、ノートに書き留めておきましょう。 ノートに書き出しておくことで、インプットした情報を整理することができます。

【ノートの取り方:例】

(質問)
「たくさんの本を、短時間で読む方法はあるか?」
(答え)
・はじめに概要を把握して、知識を積み上げておく
・「知っていること」が多くなると、速く読めるようになる
・本を読みはじめる前の「準備」が大切

「エピソード記憶」に働きかける

速習セミナーの受講生から「なぜ、質問と答えをセットにするのですか?」と聞かれることがあります。なぜかといえば、「エピソード記憶」に働きかけることができるからです。

記憶には、「意味記憶」と「エピソード記憶」の2つがあります。

「意味記憶」とは、歴史の年号を覚えているとか、掛け算の九九ができるといった、誰にでも共通する知識としての記憶のこと。「あの人は、記憶力がいい」という場合の記憶は、たいがい「意味記憶」を指しています。

「エピソード記憶」は、特定の人、もの、出来事にまつわる記憶のことです。

コタツに入るとお鍋が食べたくなったり、懐メロを聴くと感情的になったりするのは、「エピソード記憶」として覚えているからです。

「この漢字は、中学生のときに父親に教えてもらった漢字なので、覚えている」
「この問題は、前回の試験のときに答えられなかった問題なので、覚えている」

といったように、個人的な経験がともなう記憶は忘れにくい、といわれています。人間の脳は、記憶した知識をそのときの状況と関連づけて、映像や感情とともに留めておく働きがあるからです。

大人になってから、「暗記が苦手になった」と感じたことはありませんか?

子どものころは、「意味記憶」が優位ですが、年を重ねるごとに「エピソード記憶」が優位になってきます。「大人になると、暗記が苦手になる」のは、年を重ねるごとに「意味記憶」が弱くなっているからです。

ですから、大人になればなるほど、「特定の人、もの、出来事」と関連づけて覚えたほうが記憶に残りやすい。「質問と答えをセットにして読む」ことが読書経験となり、「エピソード記憶」を使うことができるのです。

速習法の読み方は、あとひとつ。次回は、はじめから終わりまで読み通す「トレーシング・リーディング」について説明します。

(写真撮影:加藤康)

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